稲田哲将 研究所

有限だけど境目がない宇宙の可能性について


宇宙は無限に続くのかそれともはてがあるのか?誰しもそんなことを考えたことがあると思います。宇宙の広さが有限だったらその向こうには何があるのだろうか?その向こう側が考えられるのならば、有限ではないのではないか。そんな素朴な疑問に一つの可能性を考えてみます。これは、100年以上前から知られている数学的な可能性であくまで可能性の一つ、つまり仮説であることをはじめにお断りしておきます。

最初に直線を再定義しましょう。

定義:直線とは二点間を最短距離で結ぶ点の集合である。

このように定義すると球体上の二点を結ぶ最短経路は、3次元では弧のように見えます。

定義:円とは、一点からの距離が距離が等しい点の集合である。

この定義をもとに球体の表面で北極点から円を描いてみましょう。

北極点からの距離(円の半径)が延びるにしたがって、円周が増加します。
しかし、赤道を超えると奇妙なことが起こります。
円の半径が増加すると、予想とは逆に円周が減少します。
さらに延ばしていくと円周0の円を描くことができます。

この関係を4次元と3次元で類推すると一点から等距離の点(球の半径)の集合が球の表面となります。半径を大きくして言った場合、「もし」この宇宙が4次元に浮かぶ球であったならば、直観通り、ある半径までは、半径が増えると表面積も増加しますが、それを超えると半径が増えるにしたがって表面積が減少し、ついには表面積0の球体となります。

3次元の内側からの推測なので宇宙は、純粋に無限のかなたまで続いているかもしれないし、ドーナツのような形や、穴が沢山ある可能性もあります。

そこで、3次元空間に住む人間が内側から球であることを確かめる方法はないかと考える人が出てきました。それがポアンカレ予想です。

ポアンカレ予想:単連結な三次元閉多様体は、三次元球面と位相同型であるか?

この予想が証明できると、先ほどのように紐(半径)を大きくして宇宙を一周回ってきたところでその紐の両側をもって引張った時に常に引っかかるところがなく紐が、回収ができる場合、宇宙は4次元球体であるといえるようになります。

このポアンカレ予想は、2006年にグリゴリー・ベレルマンによって証明されました。
これは、宇宙の構造が決定したわけではない点に注意してください。あくまで数学上で宇宙の構造を判断するときの指標ができたという段階です。